平成11年7月15日
上田 秀朗先生

咬合崩壊症例へのインプラントの対応

 

いわゆる咬合崩壊という表現に明確な定義はないが、何らかの原因により咬合力との負担能力との間でバランスハが崩れ、歯牙欠損の拡大、歯牙の位置異常などによる機能障害が持続的に増悪する状態であると考えられる。その原因はブラキシズムなどの習癖、歯牙欠損などによる咬合支持域の減少や歯周病が挙げられ、治療には徹底した原因の除去が必要である。
 歯周病を伴う歯牙欠損症例では、歯周治療を行った後に欠損補綴を行う必要があるが、従来のブリッジや可撤性部分床義歯による補綴方法では咬合崩壊を止めることが困難であるばかりでなく、さらに欠損を拡大する危険性がある。これは残存歯の咬合力の負担能力が低下しているため欠損部の負担を担わせることとが難しいからである。
 このように症例はインプラントによって咬合支持域を拡大することは有効であると考えるが、歯周病のあった口腔内にインプラント治療を行うこと自体リスクを伴い、また症例の多くで顎堤が高度に吸収しているためインプラント埋入に困難を伴い、インプラント治療の難症例であるといえる。
 今回症例を提示し、当医院における咬合崩壊症例へのインプラント治療の取り組みを紹介する。